M&A工務店(住宅建築業)を廃業する前に売却しよう!

近年、後継者不足や少子高齢化による不景気の煽りを受け、事業の存続が困難な工務店(住宅建築業)があとを絶ちません。

工務店の社長自身が会社をたたむことを考えたとしても、長年、仕事をともにしてきた従業員は、まだまだ現役。守るべき家族もいるため会社を存続するか、存続しないのか、我々全日本工務店協会にも会社のたたみ方について頻繁に相談が来るようになりました。

もし、会社を廃業する場合、工務店(住宅建築業)は、売却できます。
今回は、工務店(住宅建築業)を売却するとは、どういうことなのか解説します。

工務店をM&Aによって売却する

会社を経営しているとM&Aという用語を一度は見聞きしたことはありませんか?

M&Aとは、Mergers(合併)and Acquisitions(買収)のことで、企業の合併買収を指す用語です。

そのため、2つのまったく異なる会社が1つにまとまったり(合併)、とある会社が別の会社を買取る(買収)などの意味を持っています。

つまり、後継者がおらず跡継ぎ問題に追われる工務店や不景気の煽りを受けて廃業せざるをえない状況でも、M&Aの手続きをとることで、そのまま事業として継続できます。

工務店がM&Aを実施するメリットとは?

企業の合併&買収と聞くと、少し悪いイメージを持ってしまうかもしれませんが、そんなことはありません。

お互いの了承のもと適切な企業間におけるM&Aは、譲る企業・譲り受ける企業の双方に大きなメリットがあります。
それでは、譲るメリット・譲り受けるメリットについて確認していきます。

譲るメリット1

後継者不在による事業承継問題を解決できる

後継者問題や運転資金の不足による問題から倒産を余儀なくされていたとしても、M&Aを実施し、工務店を売る・譲ることで事業承継による問題が解決します。会社の経営者にとって、従業員の雇用や事業の継続、長年培われてきた取引企業との関係性は、何があっても守りたいという考えがあるでしょう。

ちなみに、後継者問題を抱える中小企業は、市場全体の65%にのぼるといわれています。もし、後継者が見つからず、廃業することで会社を清算することになれば、今まで時間をかけて作りあげてきた商圏や確かな技術力、ノウハウが台無しになり、後世に何も残りません。

それどころか、今まで会社に貢献してくれた社員を、見捨てることにもつながります。そういった事態に陥らないようにするためには、友好的なM&Aによって事業を承継し後継者問題を解決することが大切です。

譲るメリット2

創業者自身の利潤を確保できる

不景気の煽りを受け、倒産せざるをえない状況下では、創業者の利潤を確保することは、不可能であるように思えるかもしれません。しかし、M&Aを実施すれば、一定の創業者の利潤は守られます。

通常、創業者が工務店をたたむ場合、M&Aによって事業を売却する・譲渡するという発想がなければ、廃業や清算という形をとることがほとんどです。
もちろん、廃業や清算といった方法では、工務店そのものが消滅するため、創業者の利潤は守れません。

この時、M&Aによって会社を売却・譲渡すれば、今まで積み重ねてきた技術や商圏、雇用中の従業員を適切な手続きのもとに一定の資産価値を有する状態で譲渡先に譲り渡すことができるため、創業者自身の利潤を確保できます。

そのため、創業者が利潤を確保したいと考えるのなら、ただ工務店を廃業するのではなく、M&Aによって売却することが大切なのです。

譲るメリット3

将来的な先行き不安などの心理的な問題を解決

少子高齢化が進み、後継者問題などによって市場規模が縮小している以上、将来的な先行きを不安視される経営者も多いでしょう。住宅建築業界の競争化が進んでいる以上、何もせず旧態依然としているのなら、将来的な不安が解消されることはないに等しいです。

もし、M&Aによって、自身が経営してきた工務店を事業の安定している優良な工務店に譲渡・売却できれば、先行きが不安視されるような状況から解放されるため、新たなビジョンを掲げられるようになります。

譲り受けるメリット1

事業規模を拡大できる

M&Aによって会社を譲り受けた企業は、譲渡元の経営資源を取り込み、事業規模を効率よく拡大できます。事業拡大にあたり新規で従業員を雇う必要がなく、雇用や技術、ノウハウをすぐに補完できます。

そのため、M&Aによって工務店を売却・譲渡すれば譲渡先の企業が受けるメリットは非常に大きく、今まで自社の工務店で働いていた従業員は、譲渡先の工務店に再雇用され働き続けることができます。

譲り受けるメリット2

時間を買い、リスクを軽減できる

M&Aによって会社の資源を譲渡先の企業がすべて譲り受けることができれば、事業の拡大に必要な時間を買うことができます。譲渡先の企業がある特定の分野に対して、まったく知見がない状態で新規事業として注力すれば、それなりにリスクが伴います。

M&Aによって資産価値のある会社を買取ることで、新たな従業員の採用や教育、取引先の開拓など、膨大な時間が必要となる作業をカットし、短期間で人材とノウハウを取得することで、無駄のない迅速な事業展開ができるようになります。

そのため、工務店を売却すれば、事業を拡大したいと考える譲渡先の企業に大きなメリットを与えることができます。

譲り受けるメリット3

職人の技術力を向上できる

職人の能力不足から技術力の向上を図りたいと考える工務店は、常に優秀な職人を雇用したいと考えています。もし、あなたが経営者として優秀な職人を雇用している状態なら、M&Aによって会社を売却することで、高い技術力を持つ職人を雇用したいと考える企業に、従業員の雇用を託すことができます。

M&Aによって事業を譲り受けた企業は、高い技術力を持つ職人を雇用できるため、既存の職人の技術力を向上させるための教育体制を作り上げることができます。