何のために家を建てるのか?

For What

Vision.1 震災に愕然としながら自問自答し、「 何のために家を建てるのか」を問い続けた日々

2011 年3 月11 日、東北地方太平洋沖地震が発生しました。
家が津波で玩具の様にプカプカと流されていく光景をテレビを見て、胸が絞めつけられた。
私自身の誕生日(3 月10 日)の翌日のことで、今年はどんな1 年にしようかと抱負を考えているときでした。

1人の工務店の経営者として、家1 軒が建てあがるのに数え切れないほどのドラマが詰まっていることを知っています。
施主のご家族の思い、営業マンの執念、設計士の発想、職人の苦労。
あらゆる立場の人々が、考え、長い時間を費やし、大きなお金をかけて家を建てています。

その家がいとも簡単に、自然の力によって破壊されていく光景を見せつけられ、「何の為に自分たちは家を建てているのか?」と愕然としました。

気持ちがどうにもおさまらず、募金活動を行ってそれなりの金額を寄付しました。
その行為が新聞に紹介されもした。
しかし、それだけではもちろん解決になるはずもなく、売名行為のようにもなったことから、自分の気持ちを落ち着かせるだけの行為だったと反省し、沈んだ気持ちは一向に明るくなりませんでした。

そんな時に東京ディズニーランドの震災後の対応をテレビで知ったのです。

Vision.2 ディズニーランドが教えてくれた、理念が真に共有できたとき、 計り知れない力が生まれるということ

TDL では、「ハピネスを提供する」という理念を
キャスト全員が企業理念を共有し行動基準に基づいて行動しています。
(TDL では、従業員のことを「キャスト」と呼んでいます。)

あの震災のときもキャスト一人ひとりが理念や行動基準に基づき、自分の判断で見事に行動を起こしていました。

場内に流れた的確なアナウンス。
全てのキャストが笑顔でお客さまを不安にしないように誘導。
キャストの独自の判断で、商品のぬいぐるみをお客様の防災頭巾や暖をとるのに使ったり、お菓子やお土産を無料配布。
雨が降ってきた時もビニール袋やビニール手袋、大きな買い物袋を大量に配って、お客さまの体を濡れないようにした対処。

そして、もっと驚いたのはTDL の建築に対する姿勢と建物そのものについてでした。

千葉県は液状化が激しい地域ですが、TDL では平面駐車場の一部区画を除いて液状化現象は発生しませんでした。

それはなぜか。

建設時に万が一の液状化を想定し、その対策として敷地全体を約10 ~ 15 メートルの深さまで高度な地盤改良を行っていたためでした。
地盤改良には費用も、もちろん工期もかかります。
それを「起きる可能性の極めて低い事態の備え」として、不要と判断する企業がほとんどだと思います。

なぜそこまでできるのか。

「ハピネスを提供する」という理念が人、建物、サービスのあり方すべてに浸透しているからだと思いました。
この理念の大切さを学び私は、「何の為に家を建てるのか?」をとことん考えようと思いました。

Vision.3 母から教えてもらった「何の為に…」が私の幸せの原点だった

「何の為に家を建てるのか?」をとことん考えてる為に
自分が生まれて今まで、どんな時に幸せを感じきたかを追求した。

小学生の時、通信簿に「1」をもらったことがありました。
「怒られるかな?」と沈んでいた私に、母が言ったのは
「バラエティーに富んでる楽しい通信簿ね」。
音楽は1、図工5、算数4、国語2、残りはほとんどが3。
母は全ての数字が並んでいることを褒めてくれたのです。

驚きました。
「人にはそれぞれ長所も短所もあり、見方を変えれば、短所も長所に変わるんだ」と
母親のその発想に、驚きと喜びを感じた私がいました。

それから後の人生、私の幸せを感じる原点が「驚き」であり
その驚きの一番最初の瞬間が「おっ!」という感情でした。

◇    ◇    ◇    ◇

私はいま、建築業界で経営者として仕事をしています。
小さくてもいいから日本にたくさんの「おっ!」をつくることによって、
日本全体が幸せになればいいなと思いました。

そのために、<理念>という共通の価値観をもったチームをつくりたい。
未来に想定できる問題を「今の問題だ」と想定して、解決していきたい。

「何の為に家づくりをするのか」
私が出した一つの答えは、「おっ」をつくることです。

家を建てるとき、「ご家族の今」だけを考えてることはありません。
ご家族の成長と一緒に、その家の未来も想像します。
もっと視野を広げれば、それは、今を生きる私たち世代が、未来の世代や社会を案ずることと同じではないでしょうか。